木の内装とブルーメタリックの外装の路面電車 - 「みなと」(水戸岡鋭治、長崎電気軌道)

るるぶ長崎(’18) ハウステンボス・佐世保・雲仙 (るるぶ情報版)

価格:918円
(2017/11/30 15:19時点)
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JR九州の800系新幹線や特急「白いかもめ」、岡山電気軌道路面電車MOMOなどを手掛けたことで有名な水戸岡鋭治氏の作品が、長崎の路面電車にもやって来ました。長崎の路面電車の事業者である長崎電気軌道は、近年、乗り降りがしやすい新型の低床車両を複数導入していますが、この「みなと」(図「路面電車「みなと」の外観」)は、従来からある車両のリニューアルとなっています。

路面電車「みなと」の外観
路面電車「みなと」の外観

基本的な形状は、もちろん、路面電車の基本である細長い直方体ですが、古い車両らしく、角はゆるやかに曲り、正面と上面が緩やかに膨らんだ形状です。窓は基本的に角がとがった長方形ですが、正面の窓は正面の一番右上と一番左上の角に当たる部分のみ丸められています(図「路面電車「みなと」の外観」)。全体に昔ながらのイメージの形状です。

外装はブルーメタリックになっており、鉄道車両の外装としてはかなりきらびやかです。水戸岡デザインでは、文字や模様が描かれる場合が多いですが、「みなと」も例に漏れません。正面中央には、ゴールドの線で縁取られた黒い領域にゴールドの文字で描かれた「MINATO|みなと」、正面左下には同様にゴールド縁と黒の長崎電気軌道のロゴが描かれています。一方の正面右下にはゴールド縁に黒の猫が、もう一方の正面右下にはゴールド縁のみの猫が描かれています。長崎駅前電停で見た場合は、グラバー園に向かう正面側に、ゴールド縁に黒の猫が描かれています。側面中央には、正面中央と同じ「MINATO|みなと」や、ゴールドの線だけで描かれた「みなと」や猫が描かれています。側面の猫も黒塗りがあるものとないものがあります。また、猫はちょっとした注目ポイントで、よく見るとしっぽが曲がっています。長崎は猫が多い街ですが、それだけでなく、「尾曲がり猫」などと呼ばれるしっぽが曲がっていたり、変形したりしている猫が多いことでも有名なためです。長崎で猫を見かけたらしっぽを確認してみましょう。

路面電車「みなと」の車内
路面電車「みなと」の車内

内装も水戸岡デザインらしく、木の使用、繰り返しの中の変化、輪郭が明確なシャープなイラストといった特徴があります。床、正面の格子細工、シートの枠、窓枠、窓に取り付けられたすだれ、吊革の取っ手、天井に貼り付けられた絵が木製となっています(図「路面電車「みなと」の車内」、図「路面電車「みなと」のシート、すだれ、木の窓枠」、図「路面電車「みなと」の天井のイラスト1」、図「路面電車「みなと」の天井のイラスト2」、図「路面電車「みなと」の格子細工」)。ただし、防火のために一般的な意味での木製ではない可能性もありますが、少なくとも見た目は木製です。

路面電車「みなと」のシート、すだれ、木の窓枠
路面電車「みなと」のシート、すだれ、木の窓枠
路面電車「みなと」の天井のイラスト1
路面電車「みなと」の天井のイラスト1
路面電車「みなと」の天井のイラスト2
路面電車「みなと」の天井のイラスト2

シートは都市部の通勤電車同様長いシートが向かい合っていますが、一人幅の色の異なるシートが並んでいたり、一部のシートは倍の長さだったりと変化があります。天井のイラストも、色は同じで作風も似ていますが、よく見ると一つ一つ違っています(図「路面電車「みなと」の天井のイラスト1」、図「路面電車「みなと」の天井のイラスト2」)。照明も電球ぽい照明が並んでいますが、前後の端に青い照明が追加されています。電車のインテリアは全く同じシートや照明などが繰り返して退屈になるところを、変化をもたせてあるのがわかります。正面の格子細工はイラストのようにグラデーションを作れないので輪郭はシャープです(図「路面電車「みなと」の格子細工」)。天井のイラストは複雑ですがどのイラストも輪郭ははっきりとしています。外装のイラストも輪郭がはっきりしています。水戸岡デザイン定番である木の優しさと、モダンでシャープな作品に囲まれるという体験ができるインテリアとなっています。

路面電車「みなと」の格子細工
路面電車「みなと」の格子細工

長崎電気軌道のデザイン路面電車「みなと」をご紹介しました。外装も内装もあちこちが細やかにデザインされており、通常の路面電車とは異なる乗車体験ができるだけでなく、乗るたびに新しい発見があるはずです。現在は1両しかないので乗るのが難しそうですが、路面電車底床車運行情報等提供サービス「ドコネ」を活用するとよいでしょう。

すみのえアート・ビート2017に「ラバー・ダック」登場 - 「ラバー・ダック」(フロレンティン・ホフマン)

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すみのえアート・ビート2018に「ラバー・ダック」登場 - 「ラバー・ダック」(フロレンティン・ホフマン)

つぶらな目、愛らしいくちばし、丸っこいゆるやかなフォルムを持ったアヒルのおもちゃの形をしながら、高さ9.5mの巨体を誇る「ラバー・ダック」は、オランダの芸術家フロレンティン・ホフマン氏による作品です。2007年に登場した作品ですが、日本では2009年に大阪で初めて展示されました。それ以来、大阪で川や海が近いイベントが開催されると、時々やって来てはイベントを盛り上げてくれます。「海フェスタおのみち~海の祭典2012尾道・福山・三原~」のために尾道に登場したこともありますが、大阪市内に登場することが多いようです。展示の詳細はこちらのページの「アヒルプロジェクト」をご覧ください。今回登場したのはすみのえアート・ビート2017の会場であるクリエイティブセンター大阪(名村造船所工場跡地)です(図「来場者に囲まれる「ラバー・ダック」」)。

来場者に囲まれる「ラバー・ダック」
来場者に囲まれる「ラバー・ダック」

「ラバー・ダック」は、クリエイティブセンター大阪のすみのえアート・ビートの常連であり、今回のすみのえアート・ビート2017でも木津川の水を引いた造船所の一角に浮かべられていました。アヒルのおもちゃは可愛らしいのが当たり前ですが、この「ラバー・ダック」は芸術作品らしく特に可愛らしく洗練された仕上がりです(図「「ラバー・ダック」の側面」)。目は大きくまんまるで、頭も丸っこくなっており、鋭さが出てしまうくちばしは小さめにして、ゆるやかな曲線で構成しています。体も、尾や羽が尖った感じにならないように、ゆるやかな曲線で仕上げてあります。また、水に浮かべる展示により、ゆっくりと揺れたり、わずかに回転したりと、静かで優しい動きが作品の優しさを引き立てます。また、単に洗練された造形であるだけではなく、その巨体によりやって来た場所の空気を一変させたり、背景との組み合わせにより印象が異なるのも最大の魅力です。

「ラバー・ダック」の側面
「ラバー・ダック」の側面

すみのえアート・ビート2017の会場内には、小型「ラバー・ダック」が様々な方法で多数展示されていました(図「小型「ラバー・ダック」によるタイトル表示」、図「「ラバー・ダック」に見守られる小型「ラバー・ダック」たち」)。

小型「ラバー・ダック」によるタイトル表示
小型「ラバー・ダック」によるタイトル表示
「ラバー・ダック」に見守られる小型「ラバー・ダック」たち
「ラバー・ダック」に見守られる小型「ラバー・ダック」たち

近隣のスタンプラリーのチェックポイントには、中型「ラバー・ダック」が街のささやかな作品の側に設置されていました。街の環境に貢献すべく建設された噴水に設置されたり(図「噴水に設置された中型「ラバー・ダック」」)、路上観察の世界では原爆タイプなどとおどろおどろしい名前の付いた建物撤去後の線を活用した街頭アートに向き合って設置されたり(図「ロバの絵と向かい合う中型「ラバー・ダック」」)しています。街のささやかなデザインの心遣いに気づくきっかけになるのではないでしょうか。もちろん、「ラバー・ダック」の小型も中型も可愛らしい造形は健在です。

噴水に設置された中型「ラバー・ダック」
噴水に設置された中型「ラバー・ダック」
ロバの絵と向かい合う中型「ラバー・ダック」
ロバの絵と向かい合う中型「ラバー・ダック」

すみのえアート・ビート2017に登場した「ラバー・ダック」をご紹介しました。「ラバー・ダック」は可愛らしさと、やって来た場所の空気を一変させる巨大さを持った不思議な作品です。さらに、イベントのときにしか見られないレアさもありますので、見てみたいと思ったなら、イベント情報には十分に注意しておくのが良いでしょう。